昔の人の戸締り防犯

〜温故知新〜

2007.09

 私達が通常警備といっているものは、警備業法で定義されたものを指し、それは防犯の数々ある手法の一つだと考えています。

 今回は、警備の目的である防犯について、 古( いにしえ ) の日本人はどのような工夫がされていたかを思い出し、原点を見直したいと思います。〜地球に優しい防犯対策をめざして〜

 確かに防犯に関する考え方は、時代の背景や地域差・主人の職業や地位などにより、何から自分を守るか? もしくは、どの程度の防犯の必要性があるか? は違ってきます。そのことは現代でもいえることでしょう。

 現代の防犯手法は科学が進歩していることもあり、さまざまな手法が組み合わされていることが多いようですが、重要性や予算・目的などによって防犯の程度もさまざまです。私どもの会社にご相談戴く数々のケースでも、ご依頼主のご要望を十分理解したうえで、必要と思われる手法は昔からの手法と近代手法を合わせた専門的な知識を交えながら、ご納得のいくシステムの提案と対策をさせていただき喜ばれています。

 昔の防犯は屋敷内や家屋内に、侵入して欲しくない人を防ぐことが第一で、家の中に入られてしまった場合、留守をしていたら、今でいう忍者屋敷のような "からくり仕掛け" でもしていなければお手上げでした。


  敷地境界部分に防犯的対策が行われる以前には、境界の内側に樹木を植えて自己の敷地を主張していましたが、測量の技術が乏しい古代では、主観的に設けられており、徐々に解決しつつあるとはいえ、いまだに境界の再調製が必要になるなど、さまざまなトラブルを生みだしています。

 植木の間隔を狭くして簡単には人の出入りがしにくいようにしたのが現代の生垣です。ただの生垣に竹などを網状に組んだものを併用することで、侵入をいっそう困難にしています。このような竹垣は風通しが良く、外部から内部の人の気配を容易に見ることができることで、通行人の数が多い地域では簡単で効果がある防犯方法として一般に普及されています。

 一方、大名屋敷や豪商などでは、もっと厳重な侵入防止策が必要になり屋敷の周りに塀を設けるようになりました。塀の上部には "忍び返し" と呼ばれる乗り越え防止策がとられていました。 "忍び返し" の手法は現代でも電気や電磁波 ( 電波・磁気・光など ) を使わない防犯対策として、場所によっては非常に有効な侵入防止策だと考えています。

 最近塀の上部に 有刺鉄線やガラス片を取り付けているのを見かけますが、これらも簡単に塀を乗り越えられないようにする工夫でしょう。

 城などでは、川や堀などで敷地を囲んだり、高い擁壁を設けたりして外敵の侵入を防いでいたことはみなさんご承知の通りです。

 また、大きな商家では蔵などの外壁を塀代わりとしたり、町民の間では長屋の外壁を塀代わりとしたりしていましたが、これは家屋の防犯を兼ねた物と考えられます。

 敷地周囲をいかに厳重にしても、出入口は必要です。そこで門扉の造作をどのようにしたら良いかについて庭の形状などにより、いろいろな手法が考えられていました。

 門から家屋までの距離がある大名屋敷や豪農では、仕え人が居住する塀を兼用する長屋の中央に出入り口を配しそこには "かんぬき" や南京錠などで常時施錠していました。

 通常、来客や主人以外の家族の出入り、それに御用聞きなどは裏門を利用していました。裏門も正門同様の戸締りが必要ですが、日常の出入りに便利な、出入りの気配や外の声・門を叩く音などが聞こえやすいように、裏門と家屋とが近くなるような配置が多く、裏玄関(勝手口)に近い位置に、奉公人や書生などが住居していました。

 町民は施錠さえ行わなかった家が多く、したとしても引き戸に内側から "つっかえ棒" ( しんばり棒 ) を斜めに立てかけ、戸締りとしていた所が多かったと言われています。

 貧富の差が大きかった昔は、家の戸締りに対する意識もさまざまだったようです。